背景
開業医にとって、がん末期等の重症患者を数多くひとりで診るのは心身共に大きな負担である。このため、在宅医療を希望する患者さんやその家族は少なからずいるものと思われるが、実際に訪問診療を受け入れ実施する医療機関は少ないと思われる。医療保険の改定により病院での長期入院が困難になってきたことや、介護保険の普及等により在宅医療のニーズは、今後ますます増大していくものと予想される。
そこで、在宅医療を希望する患者さんをより多く受け入れるための方法として、在宅医療に熱心な医師が集まり診診連携、病診連携を通じてグループ診療を行うことにより、病院・患者さんに対しては在宅医療の受け皿となり、開業医にとっては相互協力により医師の負担を軽減し、その結果として患者さん側にとって安心して訪問診療を依頼できるシステムを構築しようと考えた。
このような背景のもと、平成15年3月に「長崎在宅Dr.ネット」（読み方：ながさきざいたくドクターネット）が発足した。同ネットには、長崎市内および近郊の医師が参加している。
活動の目的
1）グループとして在宅医療の受け皿となる。また、グループ内の連携により緊急時の対応を行う。2）診診・病診連携を組むことにより、地域住民に可能な限り継続的で効果的な在宅医療を提供する。
3）相互に医療上の相談を行い、また種々の医療情報を共有することにより医療の質の向上を目指す。
4）参加する診療所間および病院間の親睦を図る。
活動方法、内容
当連携の参加医師は、基本的に24時間365日対応可能で、メールによる連携が可能であることを前提とし、在宅24時間連携を組む。このため各医師は常に連絡可能な通信手段を確保し、お互いそれを共有する。具体的には携帯電話、電子メール環境を整備する。参加医師は、正会員（連携医）、準会員（協力医、病院医師）に分類される。
正会員
連携医と称し、主治医として治療に当たる者とこれと連携協力して補佐する副主治医からなる。
準会員
①協力医と称し、皮膚科、眼科、脳外科、麻酔科、形成・整形外科、婦人科など専門性の高い診療科の医師で、連携医からの医療相談を受け、必要に応じて往診を行う者とする。または長崎市近郊ではない地域に所在し、本会の趣旨に賛同する者。
②病院医師と称し、病院、または大学に勤務する医師で、当組織の趣旨に賛同する者。病診連携を実践し、専門的な立場よりの助言等を行う。
このように、いかなる専門分野においても、きめ細かく対応できるシステムを構築している。
また、当ネットの特徴的な取り組みの1つに、独自の管理栄養士派遣システムがある。これは、おもに患者の生活習慣病の予防・改善を目的に，各診療所では常勤職員としての雇用が難しい管理栄養士を診療所間でシェアし、それぞれの診療所で栄養指導を行うというものである。
さらに、平成15年12月よりは、長崎市歯科医師会の訪問歯科診療を引き受ける受け皿である「口腔リハ部会」を「連携協力機関」として、口腔リハ協力歯科医との連携を行なうようになった。長崎在宅Ｄｒ．ネットでは、関連する医師（連携医、協力医）、ケアマネージャー、訪問看護師、病院主治医を含めた症例検討会を定期的に開催している。今後も、症例検討会を定期的に開催することにより、医療各職種同士や福祉との連携の問題点や、連携の有効な方策と実践につき、検討していきたい。
長崎在宅Ｄｒ．ネットは、平成20年1月にNPO法人として認証・登記を行なった。在宅医療に熱意のある医師の参加が増加し、市内全域を網羅するようなネットワークが構築でき着実な成果を挙げてきている。
今後、関係各組織との連携を更に緊密に構築し、地域医療ネットワークの一助になればと考えている。
実際の利用法
- 入院中だが、自宅へ帰りたい患者さんで、主治医の先生に自宅療養が
可能と判断していただいた場合。 - 身体的、地理的状況で外来通院が困難なため数カ月に 1 回の病院受診しかできないが、そのあいだの月 1-２回の訪問診療を依頼したい場合（病院受診を継続した状況で、途中の在宅での経過観察を依頼したい場合）
- 身体的、地理的状況で外来通院が困難なため、全面的に訪問診療を依頼したい場合
いずれの場合も、従来からのかかりつけの開業医の先生がある場合は、まず、そちらに御相談ください。しかし、かかりつけの開業医の先生が往診や在宅訪問診療への対応が困難な場合
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「訪問診療に関するお問い合わせ」に記入のうえ下記へお問い合わせください。
「長崎在宅 Dr.ネット」事務局
（〒850-0875 長崎県長崎市栄町４番９号 長崎県市町村会館３階 担当 小山
TEL:095-811-5120、FAX:095-811-5121、
E-mail:drnetjimukyoku@yahoo.co.jp http://doctor−net.or.jp/）
従来のかかりつけの開業医の先生と十分相談させていただいた上で、病状、居住地域を考慮して主治医及び副主治医を決め御連絡します。
【訪問診療に関するお問い合わせは以下からPDFをダウンロードして下さい。】
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